熱海伊豆海の郷の現状/復興を目指して(7月16日)【湖成会】
はじめに。
災害発生から、ご支援ご協力をいただきました関係者の皆様、湖山医療福祉グループの皆様、本当にありがとうございました。
「 7月3日 」
この日は、わたしたちにとって、忘れられない日となってしまいました。
熱海市伊豆山で起きた大規模土砂災害は、たくさんの人の命と日常をあっという間に奪っていきました。
大量の土砂で捜索活動は難航し、いまなお16名の方が行方不明となっています。
熱海伊豆海の郷では、一番大きな土石流が起きたとみられる10時15分頃に停電が発生。
7月3日は土曜日だったため、事務所が手薄で日直は一人。
隣町に住むケアハウス・養護老人ホームの施設長が駆け付け、すぐに災害対策本部を設置しました。
お客様の安否確認、状況の確認、情報の収集、災害用品の準備、鳴りやまない電話の対応、各種サービスの対応決定、近隣職員の安否確認、避難者受入、勤務体制の確認・・・等
時間が経つに連れて職員が集まりましたが、少ない人数での対応は想像を絶するものでした。
17時20分、電気は復旧しました。
そしてすぐに断水。
そこからは、ヘルスケアデザインレポートや湖成会のお知らせに掲載させていただいている通りです。
最初の3~4日間は、日々状況が変わり、その対応に追われる日々でした。
しばらく家に帰れない職員、毎日帰れる時間が遅い職員、遠回りでの通勤の為にいつもより早く家を出る職員。
たくさんの職員が、不安を抱えながら、日に日に溜まっていく疲労の中、勤務にあたっていました。
そしていつもと違う状況の中で、お客様にいろいろな不便をかけてしまい、大変申し訳なく感じていました。
そんな中、わたしたちに力をくれたのは、たくさんの方々からかけていただいたあたたかい言葉。
応援に来てくる他施設の職員。
毎日送られてくるたくさんの支援物資。
職員を想って送られてくる差し入れの数々。
そして、わたしたちの家族からかけられる労いの言葉でした。
毎日帰るのが遅くて全然会えないパパに、毎日手紙を書いてくれた6才の娘さん。
なかなか休みが取れないお母さんに、「今日も仕事なの?」とぶっきらぼうに声をかけてくれた思春期の息子さん。
「今日は帰ってこれるの?」と心配して毎日メッセージをくれた旦那さん。
「施設が大変なんだから早く仕事に行きなさい」と病床から電話で励ましてくれたお母さん。
たくさんの職員が家族に支えられて、家族の大切さを実感すればするほど、テレビから流れてくる家族の安否を心配するニュースに、心を痛めることしかできないことが歯がゆい日々でした。
6日間続いた断水は、7月8日朝に復旧。
特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、ケアハウスは、7月14日から入浴や洗濯等、節水を心がけながらではありますが、ほぼ通常の運営ができるようになりました。
ショートステイはお客様の生活状況に応じて受入を行っています。
デイサービスセンターは、7月19日から利用を再開させていただく予定です。
このように、施設は通常営業再開へ向けて動き出しています。
熱海伊豆海の郷から災害が起きた現場までは、直線距離で約500メートル。
大量の土砂とともに家が流れてくるあの衝撃的な映像の場所は、このあたりでは「神社線」とよばれ、お客様の送迎や、職員の通勤ルートに使われる、施設にとってあまりにも身近な道路でした。
今は規制線で遮られ、とても遠い場所になってしまいました。
そして、甚大な被害を受けた現場は、いくつかの町内にわたり、そのうちのひとつに「仲道町内会」があります。
熱海伊豆海の郷が在籍している町内会です。
今後、伊豆山地区の復興にどれだけの時間を要するかは分かりません。
そして、地域は復興しても、そこで生活をする人たちの心の傷が癒えることはないのかもしれません。
熱海伊豆海の郷は開設から14年、伊豆山地区と共に歩んできました。
これからも熱海伊豆海の郷は伊豆山地区とともに、「復興」を目指していきたいと思います。
最後に。
この度の土砂災害でお亡くなりになられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。